吸気系 – キャブ調整(ジェットニードル)

ずいぶん前からやろうと思っていて、
一部パーツもそろえてあったW650のキャブをようやく調整してみました。
調整といってもスロージェットやメインジェットをいじるとなると
W650だとキャブを外すか少なくともスライドさせる必要があり、
エアクリーナーBOXを取り外したりとかなりめんどくさい作業になるので、
今回はある程度簡単にできるジェットニードルの変更です。
キャブのジェットニードルの仕事は
キャブレター基本セッティングマニュアル
を見てもらえれば詳しく&図解してあるので分かると思いますが、
エンジン回転数の30~75%と一番常用する範囲でのガソリン供給をコントロールする役割をしています。
ちなみにW650はCVキャブレター(負圧可変ベンチュリタイプ)です。
一般車のキャブは大抵これ。
私が持っているYZ250FのようなレーサーはVMキャブレター(ピストンバルブタイプ)です。
FCRやCRといった俗に言うレーシングキャブレターってやつ。その名のとおり、アクセルに敏感に反応する仕様です。
W650用CR、FCRなんてのもアフターパーツでありますが、
W650のようなまったりツーリングバイクには過激すぎで不向きかな?おもしろいとは思うけど長時間運転は疲れそう。
あと、2stだと一般車でもVMキャブです。負圧が弱いからだっけ?
では、さっそく今回作業手順を。


まずは、作業の邪魔になるガソリンタンクを外し、キャブを上からアクセスできるようにします。
ふた左
このようにキャブの一番上はふたがされています(めっきの部品)ので、4つのネジを緩めてふたを外します。
写真で見てもわかりますが、ネジは鉄なので何本か錆びて朽ちていますね・・・
案の定、一本、ねじ山をなめてしまいました・・・
幸い、それほど強いトルクで締まっていなかったのでプライヤで回して外れましたが気をつけたほうが良いです。
最後にふたを外すとばねが飛び出ますので、ふたを押さえながら最後のネジを緩めゆっくり外しましょう。
バキュームピストン左
ふたを外すとこんな感じでバキュームピストンが顔をだします。
このピストンの中にジェットニードルとガイド(シート)が入っています。
障害物
右側のキャブのふたにアクセスするにはケーブル類をまとめるガイドをはずしてやらないといけません。それを外します。
ふた右
右側もネジが錆びて朽ち朽ちですね・・・
しっかりドライバーを押し付けて、なめないように外します。(こちらはなめずになんとか緩んでくれました。)
バキュームピストン右
左側同様にばらしていきます。
パーツ
ばらしたパーツと、今回換装するパーツ。
W650のジェットニードルなんですが、年式によって数種類存在します。
うちのW650は初期型99年式なんですが、左右気筒でジェットニードルの長さが違います。
01~02年式からはさらに長さがチューニングされ
03年以降も長さがさらに短く、そして左右の長さ違いも無くなったようだ。
私の持っているサービスマニュアルを参考にまとめると
99~00年型 左:N8GJ 右:N8GN
01~02年型 左:NAZN 右:N31I
03年型以降 左:NAZM 右:NAZM
となっているらしい。
私はあるサイトを参考に左右共にNAZM(おそらく一番短い)にすることにした。
M2.6×7.5 厚さ0.5mmのワッシャーは
W650のジェットニードルはクリップで高さ調整ができない形なのでピストンとニードルの間に入れて調整します。
ちなみに調整可能なニードルだと、
1段は1mmの間隔らしい。微調整したい時は同じように0.5mmワッシャーをかますのだとか。
M4x8(長さ)のステンキャップボルトはふたを固定するもともとのネジが朽ちていたのと、
ドライバーではなめやすいのでこれに換装するために慌てて近所のホームセンターで買ってきました・・・
構成部品
ちなみにノーマルのパーツ構成はこんな感じです。
(W650 99年式パーツリストより)
ニードル-NAZM+0.5mmワッシャ
このようにジェットニードル(NAZM)にワッシャーを通しておくだけ。
私は、ある人のサイトを参考にワッシャー1枚にしました。
NAZM化で約0.2mm+ワッシャー約0.5mm分で約0.7mm分短くなります。
右側に関してはもともとが+0.5mmだったと予測されるので1.2mm変化したことになる。
なぜ、02年式まで左右の長さが違っていたのか?
これはエアクリーナーBOX形状によるものか?なんて考えもでているが、
03年以降はエアクリーナーBOXの品番は変わっていないのに左右統一されているし。謎です。
もしかして、ド初期のまではわざとTWINらしい振動を出すためにあえて変えていたのかもね。
W650のバランサーもそんな考えで設計されているなんてどこかで見たこともあるし。
(4000rpmまではわざとアンバランスにしてあるんだっけ?)
ボディー
で、ジェットニードルを変更してワッシャーをはさんだら、取り付けは逆の手順で入れていきます。
バキュームピストン挿入
バキュームピストンにジェットニードル+ワッシャーをつけて挿入。
ばね挿入
で、ばねを入れて
ふた+ヘキサボルト
ネジをヘキサボルトに変更してふたをすれば完成です。
このあと、バキュームゲージを使って、左右のキャブの同調を合わせ直しました。
(だいぶ前にも同調を取り直したがノーマルはほんのちょっとずれていたみたい。)
★インプレッション
午前中~昼ごろまで、待ち乗り、バイパスと50km程走ってまずは変更前を確認してあります。
で、夕方から同じシチュエーションで走ってきたのですが、なかなか良い感じになったと思う。
付いているマフラーはほぼ直管なので、抜けが良くなってた分、トルクは落ちていたと思うのですが、
ちょっと燃料が増すタイミングが変わってマッチしたのか加速が良くなったなと感じました。
というか、ただでさえフラットなトルク特性なW650ですが、
さらにスピードがのるまでの繋ぎがスムースになったかな。
あと、全開から半開に戻す時も今までちょっとボコボコして引っかかり感が少々あったんですが
そこが滑らかになった気がする。
結論を言うと、今回の組み合わせはこの直管仕様にはドンピシャの絶妙なセッティングだと言えるでしょう。
まぁ、参考にさせてもらったのは大和ステンレスの直管マフラーと似たような仕様で
シャーシダイナモで測定して出した一番効率が良かった結果を見ての組み合わせなので当たり前か。
ただ、ノーマルマフラーのようにヒューンと速度があがるのにはやっぱ勝てないかな。
連結つきで容量も大きいノーマルマフラーはやっぱW650のトルク重視なエンジン特性をうまく引き出していると思う。
でも、あのジェントルな音はちょっと寂しすぎる・・・
とにかく、音を楽しめるうえ、常用域のトルクもだいぶ戻ったのでよしとしましょう。
今度は、メインジェットの番数ももうちょっと上げてみたいが、やっぱ作業がめんどくさいから悩める・・・
FCRみたいに下にアクセス窓があれば良いのになぁ。
あと、よっぽどの加速する時以外、5000RPM以上はほとんど使ってないしな・・・
その時は加速ポンプが働いているだろうし。
そもそも、吸気はノーマルBOX仕様なんでマフラーを変えてあるくらいじゃ、
もともと空気が足らない高回転ではあまり変わらないだろうと思うし。
要は排気側をいじった位じゃ最高馬力はあがらんってこと。
4stの場合、マフラー交換は排気音を楽しむのと軽量化が大部分かと昔から思っている。
(2stだとチャンバーの形だけでも特性がだいぶ変わると思うけど。)
吸気をエアファンネルにしてメインジェットをどーんとあげれば、W650でも数馬力は上がると思うけどね。
ただし、当然燃費は悪くなる。
でも、参考にしたサイトでは大和ステンレスマフラーでもノーマルエアクリBOXをちょと弄って、
けっこう良い結果を出しているんよね~。
ちなみにそのサイト主の結果ではK&Nパワーフィルター+大和ステンレスマフラー仕様は
ジェットの番数がめちゃくちゃ上がっていて(ノーマル#118に対し#150~・・・、
パワーの伸びに対して燃費が激悪になっていた。それでもまだ燃料供給不足なんだとか・・・